「最近、買いものし過ぎ…」
「買い物の失敗を減らしたい!」
そんな人におすすめの本をご紹介します!
わたしも買い物は好きで、ついつい買いすぎてしまうことはあります。
そんな時、以下のような本を薬のように読んでいる。
少しずつ読み重ねて、自分の中に買い物スキルをインストールしたいと思います。
「買い物」「消費」「エシカル」、そんなキーワードが気になる人はぜひ読んでみてください。
そもそも買う量を減らす「買わない暮らし」
ブログ「筆子ジャーナル」で人気のミニマリスト筆子さんの著書です。
さいきんのわたしと言えば、買い物にどハマリ中(笑)
引っ越しにかこつけて、色んなものを買っています。
いちおう自分では「必要なもの」を買っているつもりですが、もしかしたらそうではないのかも…。
なので、時々こういったミニマリスト本を読んで買い物毒を中和するようにしています(笑)
この本はその名のとおり買い物のコントロール術を書いた内容です。
断捨離とかミニマリズムの本はいろいろ読んでいきましたが、それに近い内容ですね。
でも中には聞いたことのないキーワードもありました。
そのひとつがマネーシェイム。
お金に対する間違った価値観のことだそうです。
その間違った価値観とは主に「この世はお金がすべて」ということ。
そこまで極端なことは言わなくても、誰しもお金の過多が人の価値を決めているとは、少しぐらい心の奥底で感じているのではないでしょうか?
年収が高い人を見れば「スゴイ!」って思うし、やっぱり「羨ましい」とも思いますよね。
多かれ少なかれ、マネーシェイムはみんなもっているものだと思います。
そしてそのマネーシェイムが「買い物」に大きな影響を与えると筆子さんは言います。
けっきょく、お金を特別視しているからこそ、モノを持ちたい。
つまりモノを持つことで、お金を持っていることを周りにアピールしたいわけです。
そう考えると、なんだか恥ずかしくなりますね(笑)
コンプレックスが良くない方向に行くことは多々ありますが、マネーシェイムもきっとそのひとつなんでしょうねぇ。
そしてニーズとウォンツというキーワード。
ニーズとは必要なもの、ウォンツとは欲しいものと説明しています。
ホント、買い物しているとすべてニーズになっちゃいますよね。
「アレも必要!コレも必要!」そう思って、実は楽天スーパーセールに踊らされていたのか…(笑)
ニーズとウォンツの切り替えは、基本だけどとても難しいものです。
だいたい時期やライフステージによってちょっとずつ変わりますよね。
筆子さんはさらにニーズとウォンツの中間の「生活するために持っておくべきもの」というカテゴリーを設けています。
恐らく極端にニーズとウォンツを切り分けると、決められない。
むしろどちらかを悩むモノを、どんどんニーズの箱に入れていってしまい、買い物が加速する気がします。
だから緩衝材的に「生活するために持っておくべきもの」をリスト化するのは、すごく合理的ではないかと思いました。
筆子さんのリストをみると、
- ニーズには、生物として必要なもの
- ニーズとウォンツの中間の「生活するために持っておくべきもの」には、社会生活を営む上で必要なもの
- ウォンツは単純に欲しいもの
と分けられているように見えました。
わたしもニーズとウォンツはそれなりに意識しているつもりですが、ウォンツがいつのまにかニーズの顔して出てくることがありますよね。
必要じゃないものも、いろんな理由をつけて必要だと買ってしまうことはよくある失敗です。
本書にもあるとおり定期的な見直しが大切でしょう。
『買わない暮らし。』を読んでみて、大切なのはやはり環境を整備することと、買わない暮らしをしたうえで、何をするか?だと思いました。
例えば渋谷や表参道に住んでいたら、無駄遣いしないなんてムリだと思うんですよね。
街全体がショーウィンドウみたいなものだし、どこを見ても、看板、広告、商品!
これで購買意欲に火がつかない人なんて、いないのではないでしょうか?
そしてその風景は今、わたしたちの手元にも広がっています。
スマホのなかには広告と商品がいっぱい。
まぁ、このブログも大いにそうですが(笑)
本書にはそういった「買い物環境」に対する心構えやコントロールのテクニックが多く書かれています。
ただやっぱり大事なのは、買わない暮らしのその先でなにをするか?だと思います。
買い物習慣がなくなり、心にポッカリ穴が空いた状態になってしまえば、すぐにまた買い物をしはじめるでしょう。
つまり『買わない暮らし。』を目的としてチャレンジしても、達成したその先で虚しさに襲われてしまい、ダメだと思うのです。
あくまで手段としてみて、なにかをやるために『買わない暮らし。』を参考にするのが良さそうです。
「買わない暮らし。』のその先には、お金と時間の自由があります。(少なくともそれ以前よりは)
本書の言葉を借りて言えば「リソース」があります。
今度はそのリソースをどこに割り振るかが、「買わない暮らし」から、ほんとうの意味での「理想の暮らし」へと進化していくために必要な段階でしょう。
残念ながら、本書ではその先までは言及していません。
だから読むときは、買わない暮らしのその先の「理想の暮らし」まで想像して読むと、より読書のモチベーションが上がる気がします。
ブックデザインも明るく、特に女性には好まれるやさしい、読みやすい本です。
わたしのようにちょっと買い物し過ぎている人はぜひ読んでみてください(笑)
買い物で世界に影響を与える「エシカル革命」
最近いろんなところで聞くようになった「エシカル」という言葉。
特にファッションが好きな人にはもう馴染み深いのではないでしょうか?
本書はズバリ、一般社団法人エシカル協会代表理事の末吉里花さんが書いた本です。
まさにエシカルとはなにか?を明瞭に解説した内容になっています。
エシカルとは「倫理的」の意味。
主に地球環境と労働環境に対して、より倫理的にアプローチしていこうという試みです。
こう言うと極端に受け取って「じゃあ、山奥で自給自足するしかないじゃないか!」と言う人がいますが、そうではない(笑)
本書でおすすめされているのは、日々の行動の中でほんのひとつまみ、1%でもエシカルに変えてみること。
経済の営みからかんぜんに離れる。
それもたしかにエシカルですが、大事なのはその営み自体をエシカルに変えていくこと。
で、その「1%のエシカル」はあんがいかんたんに実行できるんですよね。
わたしたち消費者ができることを大別すると、
- エシカルな企業(商品)を選ぶ
- モノを大事に使う
の2点です。
最近はわたしたちに馴染み深いお店やブランドも、どんどんエシカルな方向に舵を切っています。
まずはシンプルに、それらを選んでいけば良い。
本書ではエシカル消費のためにヒントになる「認証マーク」や、具体的な「エシカルブランド」も紹介されています。
そしてモノを大事に使うのは、わたしたち日本人は大の得意。
なんと言っても「もったいない」という言葉に代表されるように、日本にはモノを直したり、再利用する文化が当たり前にあります。
と言いつつ、30代半ばのわたしは祖父祖母の世代のようにモノを直す技術を持っていません。
でも今の時代はインターネットがあります。
インターネットなんて、グローバルなおばあちゃんの知恵袋ですからね(笑)
正しい洗濯の方法や、やぶれやほつれを直す方法。
割れた皿の金継ぎとか、家財のDIYレシピまで。
情報も道具も豊富にある時代なので、やろうと思えば今すぐできます。
企業の努力と情報の充実。
世の中を見渡すと、ハードルが高いと思われていた「エシカル」が、ずいぶんとラクに実行できるようになっているなと感じます。
っというわけで、わたしも最近はエシカルを意識してモノ選びをするようになりつつあります。
最近だとBOODY(ブーディ)というアンダーウェアを買いました。
これは竹レーヨンでできています。
竹は農薬や化学肥料を必要とせずとも成長が早い。
また一般的な木々よりも、二酸化炭素の吸収率が高いと言います。
農薬を使わなければ竹農家さんの健康に配慮することができ、また温室効果ガスの削減にも役立つというわけですね。
スニーカーだとVEJA(ヴェジャ)を愛用しています。
VEJAはもう10年以上前から、エシカルなものづくりを推進しています。
高品質なレザースニーカーなのに、2万円ていどで購入できるのは広告費がゼロだからだそう。
なので、あまり知名度は高くないのですが、近年はイギリスのメーガン妃が愛用したことで広く知られるようになったそうです。
BOODYもVEJAもモノとして品質が高く、わらわれ庶民(笑)でもまったく手が出せない価格帯ではありません。
個人的にVEJAのデザインはすごく好きなんですねぇ…。
あとはブランドを頼りにするだけでなく、素材もヒントにしています。
やはり竹ですが、最近ティッシュペーパーを無印良品の竹パルプのモノに変えました。
同じく竹パルプの「BambooRoll」なんてトイレットペーパーも「おかえり株式会社」より発売されているらしく、今使っているのがきれたら試してみたいですね。
おそらく竹が万能というわけではないでしょうが、それでも進んでみたい。
あとは古着にも興味があります。
古着は知識さえあれば、ふだん手が出せないブランドを激安で購入する手段にもなり得ますね。
ブランドの特性を知ったり、直して着る手段を覚えたりすれば、愛着がまして楽しそうだなぁと妄想しています。
もちろん、わたしだってぜんぶがぜんぶ「エシカルブランド」「エシカル消費」で固めているわけではありません。
ユニクロもいっぱい持っています(笑)
でもやっぱり、じぶんのできる範囲で1%だけエシカル方向に角度を変えるのがだいじだと思います。
じぶんが1度、角度を変えて次の人に渡す。
そしてまた次の人が1度だけ角度をつける。
そうして一人ひとりがすこしだけ上向きに角度をつけていくと、いつのまにか指数関数的に物事が変わっていく。
あんがい世の中はそんな風にできているのかなと思います。
エシカルに興味がある人はぜひ『エシカル革命』、読んでみて下さい!
消費の過去、現在、未来がわかる「ロスト欲望社会」
すこし前に著者の橋本努さんの『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』を読みました。
関連記事:『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』を読みました。ミニマリストのオールスター感謝祭だった!
そのあとがきで、こっちの『ロスト欲望社会』が紹介されていたので、続けて拝読。
この本は、わたしたちの日々行っている「買いもの」、つまり「消費」についてさまざまな事柄がまとめられています。
さいきんよく聞くようになったエシカル消費、ハンドメイド作家とそれをとりまく環境、消費者運動、産消提携、海洋プラスチック、無印良品、ミニマリストなどなど、多様なテーマで消費について語られています。
なかでもいちばん身近なのは、無印良品ですよね。
無印はもともとSEIYUのプライベートブランドからのスタートだった。
設立から数年後に独立したのですが、今でも企業文化に類似点があるそうです。
それは「顧客の声を直接、よく聞くこと」だそう。
SEIYUには人気の「みなさまのお墨付き」という商品がありますよね。
無印もやはり顧客の声を聞くために「くらしの良品研究所」を古くから運営しています。
両者のブランドイメージは今や正反対と言ってもよいですが、元は同じというのはおもしろいですよね。
他にも本のなかでは、無印が大事にする「用の美」や「清潔」の概念が紹介されています。
実際に無印の商品を使っている身からすると「なるほど。たしかに」と思う部分ばかりでした。
これを読んだら、無印のファンになってしまうかもしれません(笑)
そして今、無印はJapan Sustainable Brands Indexのランキングにて第2位ということで、エシカル消費やSDGsの先陣を切るブランドとして意義を高めています。
「環境に配慮した買いものをしたい」という気持ちは、わたしにもあります。
ところが、商品ひとつひとつの「環境配慮ぐあい」をいちいち確認して、日々の買いものをするなんて不可能ですよね。
わたしは豆腐、納豆、めかぶを常備するんですけど、ふつうにスーパーで買い物するとすべてプラスチック容器です。
これでは環境によい暮らしをしたくてもできない…。
だから無印のように、企業側が率先して環境保全に取り組んでもらえると、買う方はとってもらくちん。
「とりあえず無印を選んでおけば(環境的に)無難だね」となります。
その気持もあって、わたしは最近どんどんムジラーになってきました(笑)
ただ無印良品も今、転換期を迎えています。
2021年7月に堂前宣夫さんが社長に就任したとニュースが出ました。
堂前さんはファーストリテイリング(ユニクロ)の出身で、2024年までに現在の980店舗から1300店舗まで出店数を伸ばし、2030年には2500店舗、売上高3兆円を目指すと発表されました。
この目標が、無印のエシカルなブランドイメージを毀損し、大量生産大量消費の「ふつう」のブランドへと格落ちしてしまうのではないかという懸念があります。
もっとも「売上」と「エシカル」が必ずしも相反するわけではなく、むしろ両立を目指さないといけません。
その意味で、無印が「エシカルで儲かる」企業として日本を代表する企業になれば、それは素晴らしいことだと思います。
とは言え、この経営戦略に聞く限り、顧客であるわたしたちは無印の一挙手一投足に目を光らせる必要はあるなと思います。
『ロスト欲望社会』から読み取れるメッセージのひとつは「下からの啓蒙」でした。
わたしたちの買いもの(消費)が企業や政治に影響を与え、持続可能な消費社会を作っていく可能性について言及しています。
そう考えたとき、無印という日本生まれのエシカルブランドを消費者がちゃんと守っていけるかは、非常に重要なのではないでしょうか。
第6章の「海洋プラスチック」に関する記述を読むと、人類にとってそれが喫緊の課題であることがよくわかります。
できる限り環境に配慮した買いものをすると同時に、エシカルブランドを育てていくことが消費者には求められるでしょう。
新参者ムジラーのわたしも、無印が汚いブランドにならないように見張っていきたいと思います(笑)
この本『ロスト欲望社会』は、なかなか気軽に手に取る本ではないかもしれません。
大学のゼミみたいな感じだし、むずかしい言い回しも多いです。
なかなか3,000円以上する本をネットで気軽に買えないですよね (笑)
でも、もし手に取ることがあったら、ぜひ興味のあるところだけでも読んでほしいなぁと思います。